最近、「なおこは、和歌の翻訳をしている」と my tribe (詩人仲間) に広まって、俳句の授業だったり、和歌文化についてスピーチがあったり、英米式俳句の編集に携わったりしております。 日本文化のお話をする機会をいただいて大感謝です。 日本語を母国語としない作家さんたちは、「俳句」「随筆」は、けっこう知っています。 俳句=松尾芭蕉 随筆=エッセー=兼好法師、清少納言 こんな感じで、 "Haiku Master, Basyo!" "Zuihitsu, The Pillow Book! (枕草子)" みなさん、アメリカンなノリで答えてくれます。 そして、ちょっとマニアックに、小野小町や、光源氏のモデルと言われている藤原道長を知っている方は、絶対に聞いてきます。 和歌、短歌、俳句、川柳の違いを教えてくれ! ちょっと間があって。 簡単に! 異国の文化なのに、探求心があって、みなさん素晴らしい。 でもこの質問。急に来られると困っちゃう。 日本人でも、違いがすぐに答えるのは難しい! 和歌
和歌文学は、俳諧文学と同じく、日本独特の短詩型文芸です。 5-7-5-7-7の音節で、合計37文字で構成されています。 「ひらがな」ができた平安時代初期に、万葉仮名に代わって、たくさんの和歌が詠われるようになりました。 藤原定家がまとめた、「小倉百人一首」は、和歌の代表作ばかりです。 音節は、syllables と英語では言いますが、日本語と英語の音節の数え方はまったく異なるので、直接に和歌のルールを、英語に当てはめるのは、難しいかと思います。 しかも!
翻訳するのにどう表現するか、時間がかかる言葉たちでもあります。 余談ですが、 このYouTubeでは、百人一首を当時の発音で朗読されていて、今の日本語の発音と全然違います。 なんだかおちょぼ口でお話している感じ。 かわいい。 和歌は、短歌・長唄・旋頭歌(せどうか)などの総称でしたが、長唄・旋頭歌に比べ、時代と共に生き残った和歌と短歌は同じ扱いになっているようです。 短歌も、和歌と同じ5-7-5-7-7の音節です。 短歌といえば、正岡子規です。 正岡子規の作品は、青空文庫でたくさん読めます。 個人的には、司馬遼太郎の「坂の上の雲」に出てくる、正岡子規が好きです。 ちょっと癖があるというか、夏目漱石とお友達だから、ちょっと変であって当たり前か~と思ったり。 最近面白いなと思ったことは、正岡子規は、凡河内躬恒(おおしこうち の みつ)が詠んだ和歌を、「歌よみの与ふる書」の中で酷評しています。 心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花 (小倉百人一首第29番) 正岡子規は、「この歌は、百人一首にあるので、誰も口ずさむけれども、実は駄歌である。この歌は、うその趣向である。」 和歌の意味は、「白い花か、霜か見分けがつかないけれど、あてずっぽうでも、折ったら、茎が折れるかどうかな」っと詠っていますが、そのロマンティックな虚構が、正岡子規はお嫌いのよう。 冬を素敵に描いている和歌で、私は好きですが。 俳句と川柳も、見た目は似ています。 5‐7‐5音節で書かれ、 一番の違いは、 俳句:季語を入れる。 川柳:季語をいれなくても良い。 俳句は、"Haiku Master, Basyo!" 松尾芭蕉。 大昔に起きた東北地震のことを俳句に残したり、百人一首で詠われている、 陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし 我ならなくに (小倉百人一首第14番 河原左大臣) にちなんで、 早苗とる 手もとや昔 信夫摺 早苗とる手もとや昔しのぶずり と俳句を残したり。 昔紡がれた言葉たちが時間をかけてつながって、新しい歌ができ、日本文化が引き継がれている。 これから、現代人の私たちは、和歌や俳句をどう伝え、発展していくのだろうか~ とても興味深いです。 Comments are closed.
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June 2024
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