百人一首英訳の一部が、Crazyhorse (College of Charleston) より発表されます。 この出版とても嬉しいです! 私の百人一首英訳は、今までの翻訳とアプローチが全然違っていて、和歌を詠んだことがない方でも、日本人のように季節を感じたり、和歌が詠まれた背景、言葉のリズムなどをもっと身近に感じられるように、現代訳&Free verse形式で表現されています。 例えば、下記の、私が大尊敬している、翻訳家の百人一首英訳作品を読んでみると、違いがわかるかと思います。 原文:
わたの原 八十島かけて 漕ぎ出ぬと 人には告げよ 海人のつり舟 参議 篁 - Sangi Takamura 現代訳:野地潤家 私はこれから配所の隠岐に向かって舟出するのだが、「私が、大海原のたくさんの島々をめざして舟を漕ぎ出した」と、親しい都の人たちに告げ知らせてほしい。そこにいる漁夫のつり舟よ。 Fishing boats upon the sea, As I row over the plain 野地潤家博士の「要解小倉百人一首」が、わかりやすく細かい文法なども解説してあり、とても充実した和歌解説本だと思います。いろいろ読んできましたが、最終的には、高校の教科書だった、西日本書房よりでている本が一番。(国語の先生ありがとうございました。) この、参議篁の和歌、面白いなと思うのは、都会から地方転勤、荒野へ出発したくないので、投げやりな気持ちで、浜辺にある舟にしゃべりかけているところ。 もう生きることを半分あきらめているような、孤独な気持ちを胸に、美しい言葉を紡いだけど、周りには、舟しかなかった。って所が、ちょっとズッコケているというか。 悲壮感漂ってロマンティック~ って私は思えずに、クスクスと笑ってしまう和歌です。 参議篁の自伝を読んでみると(オンラインサーチでも充実しています)、こういう人いる!ってツッコミを入れながら、親近感がわいてきます。 追放者(参議篁)の気分の翻訳家になって、未知の島々を超えていくように カッコやクロスアウトを使って、はみだした訳にしました。 Peter MacMillanさんの訳 は、”beyond.(ピリオド)”と最後に区切ってあるのが、参議篁がこれから向かう未知の冷たい世界を表していて、納得な終わり方。 Kenneth Rexrothさんの訳は、”Into the distance, the waves”と、途中にコンマがあるところが、穏やかではない旅の暗示がされているようで。 もっともっと和歌を知り尽くした方々の百人一首の英訳があるといいのに! いろいろなアダプテーションを読んでみたい! Comments are closed.
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June 2024
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