オンライン雑誌 Cable Street にて、和歌の英訳2作を発表しました。 2020 年より、和歌の翻訳を模索しています。和歌は、五七五七七音で成り立って、歌い手、書道家、編集者によって、句の間の改行場所が違います。 本来和歌は、一行表現だったという説もありますが、藤田美術館の小倉色紙は、五七五七七音の和歌が、音節に関係なく4行で表現されています。藤原定家(1162~1241)が小倉山荘を飾るため障子に貼った色紙は、「字」と「句」のバランスを考えて書いたのが垣間見えます。 和歌は、
現代短歌の場合は、一行で書かれていても「字空け」のルールはもっと自由なようです。句の中にスペースを入れたり、本来なら使わなかった句読点が、表現方法として取り入れられてもいます。 しかし、 ほとんどの和歌英訳は、スタンザ (4行以上から成る段落) にまとめた5行詩になっています。5行詩は、日本語の五七五七七音節に従わなくても良いとされています。なので、音節に従わない言葉を使ってもう少し自由に翻訳できます。ただ、見た目が四角い箱のようで本当につまらない。 19世紀後期、初めて和歌を英語翻訳した Clay MacCauley や、20世紀の翻訳家 Kenneth Rexroth は、五七五七七音節を忠実に英語で再現しようと試みながら、5行ひと段落のスタンザで書かれています。それまで、和歌は外国に知られていない日本文学だったので、翻訳にはとても苦労されたでしょう。大尊敬する翻訳家です。 しかし! もうそろそろ、四角い箱型から卒業して、現代詩要素を取り入れた翻訳があっても良いのではないでしょうか。 例えば、ダンテ「神曲」は、世界中にいろいろな翻訳が発表されています。William Blake の絵を用いた翻訳や、 現代詩人 Mary Jo Bang は、斬新で革新的な新訳を試みています。 現在、私が試みている方法は、「Trans. Sensory」の要素を取り入れつつ、和歌の前にある詞書(ことばがき)のような説明文を翻訳の前に入れます。ただ、説明文は、俳文・散文形式の第一人称の文章にして、翻訳された和歌に違和感なくつながるようにしました。和歌の翻訳が、説明文と絵でサンドイッチされているのも特徴です。
The Three Courses of Trans. Sensory:
絵は、Line-break hyperawareness という、コンセプトで成り立っています。 この翻訳の方法には賛否両論があると思いますが、和歌を知らない外国の方々に興味を持っていただき、ここから探求していただければ幸いです。 Comments are closed.
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June 2024
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