五木寛之さんの本は、父が好きだったこともあって、高校生ごろから読んでいます。
「渋いね~」と前は言われましたが、よりよく生きる指南が優しい言葉でサラリと書いてあるので、ノートに写したり、思い出したりしています。 今年1月に発売された「捨てない生きかた」を読んで、ちょうどモヤモヤ思っていたことがすっきり晴れました。 お友達が遊びにくると、「引っ越してきたばかりなの?」と言われるくらい、けっこうミニマリストな生活をしていましたし、近藤麻理恵さんの片づけの考え方も好きです。 ただ、最近、うさぎのバスケットを見つけたり、先週末も、朴葉(ほおば)のお皿を発見したり、イベントも立て続けにあったので、新しい本もテーブルの上に積まれて、いっきに物が増えたなと思っていました。 物には執着しないほうなので、新刊も学生さんに譲ったり、コンディションの良い物はほしい方を探したり、寄付したりしています。 ただ何か「物に対する思い」が変わってきて、全米図書賞(翻訳文学部門)受賞作、柳美里さんの「JR上野駅公園口」を読んで自分の考え方がわかってきた感じがします。Tana Oshima さんはスペイン語版を翻訳されていますが、前から「読んでみて~」と言われていたのでようやく読み終えました。 主人公の故郷へ続く道、帰る理由が閉ざされて上野駅周辺にとどまると言うテーマの作品です。コロナ禍もあって、私もなかなか日本へ自由に行けないことも共感できた理由かもしれません。 本の中には、いろいろな「物」の詳細が出てきます。絵画だったり、ホームレスの家財道具だったり。 私はというと、コロナ禍にピアノを購入しました。 一度家に置いたら、一人では動かせない、アップライトピアノです。電子ピアノ(ゴミ箱から拾ってきた!)で練習できるので、コロナ前は、「日本へ帰ったときに弾けばいいや~」「たまにピアノがあるお宅で弾かしてもらえばいいや~」と思っていました。 それが安易にできなくなったので、もしかしたら、自身のアイデンティティーの為、故郷との繋がりの為に「巨大な捨てられない物」を家に置くことになったのではないかと。 五木寛之さんも、一つずつ物には思い出があって、その思い出を思い出しながら長い人生生きていけばよろしいようなことをおっしゃっています。物が増えても何も問題はないと。 後に残った人が大変ではと思うでしょうが、柳美里さんの本の中では、亡くなったホームレスの猫も新しい家を見つけた様子でしたので、物事は問題なく時間と共に流れていくのでしょう。 来月はピアノ調律師さんが来てくれます。 Comments are closed.
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June 2024
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